毎日使っているパソコン、スマホ、携帯電話などのデジタル機器。その中には、本人の情報がいっぱい入っています。
持ち主が亡くなった時、それらの機器はデジタル遺品として遺族に残されることになります。
インターネットの利用動向を調査した結果、50歳までのほとんどの人が利用しており、70~79歳の人48.9%、80歳以上の人でも22.3%の利用があるという結果がでたそうです。
死後のデータ管理に不安は?という質問に対しては、「ある」は55%、「ない」が45%。死後のデータ対策をしているという質問では、「はい」が4.8%、「いいえ」が95.2%という結果でした。
人は、表面的に見えている人格と背後にいる見えない人格があるといいます。その全てが入っているパソコンの情報は、個人のプライバシーそのものであり、どう対応したらいいかは難しいものがあります。
写真やメール、ネット銀行のIDやパスワードなどの大量のデータ。引き継ぐべき情報もありますし、見なくてもいい情報も入っているかもしれません。
それらの情報をどう判断し処理すればいいのか、デジタル時代になって新たに生まれた「デジタル遺品」について、NHKクローズアップ現代で取り上げていました。
生きている間にデータを妻にひきつぐ
京都に住む70歳の男性は、数年前に脳梗塞を患い、それを機に自分のパソコンの整理を始めたそうです。
パソコンの中には、心にのこる言葉や5000枚の写真など、自分の大切にしてきたデータがぎっしり詰まっていました。
男性は、ネット銀行なども開設しておりデータを整理しつつ、それを引き継いでもらうため、67歳の奥さんにパソコンを教え始めたそうです。
50歳で亡くなった夫のデータを整理する妻
40代で結婚した女性は、夫を50歳で亡くしました。残された遺品を整理しているうちに、DVDやメモリーなどの大量のデータがでてきました。
データを整理しているうちに、自分でも知らない夫のデータがでてきたため、データを見ることをやめたそうです。
夫が隠していたかったことを自分が掘り起こして、そのことをずーっと背負って生きるのはいやだ、とデータを処分することを決めたそうです。
デジタル遺品整理の専門業者
東京都港区のデジタル遺品の整理を請け負う業者には、全国からいろいろなデータが持ち込まれているそうです。
パスワードがかかっているものは、パスワードを解析して、パソコンからデータを取り出し整理し遺族に渡します。
写真などのデータは、故人のプライバシーに配慮するため、顔認証技術を使い、本人と家族データのみを取り出しているそうです。
亡くなった息子のブログを引き継ぐ
一人息子を病気で22歳でなくした70代の夫婦は、パソコンの中に自分たちの知らない息子を発見しました。
恋愛もいろいろな経験もできないでかわいそうと思っていましたが、パソコンの中には恋をして恋人とやりとりしているメールや、映画の翻訳家を目指して勉強しながら英語の詩を書いているブログが見つかりました。
そのブログには、今でもコメントが寄せられており、息子がデジタルの中で生きているような気がしたそうです。
そこで、息子の友人に頼みパソコンを習い、息子が亡くなったことを公表した上で、そのブログを引き継ぐことを決意しました。
息子の小さいときの写真や、詩を載せたりしたところ、読者からさらなるメッセージが舞い込んでいるそうです。
パソコン内のデータばかりでなく、今はFacebookやTwitterやクラウドの中にも個人情報もたくさん入ってます。
自分が元気なうちに、データの断捨離もしっかりしておかなくてはいけない時代なんですね。